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Milnor 予想篇:§3 Margolis ホモロジーの消滅

次の問題を解決したいのでした。 

問題 \( a_1,\dots ,a_w \in k^*\) とする。スキーム \( Q_{\underline{a}}\) を、次の方程式で定まるものとする。 \[
Q_{\underline{a}}:=\bigl\{ \langle\langle a_1,\dots ,a_{w-1}\rangle\rangle = a_w t^2 \bigr\}
\subset \mathbf{P}^{2^{w-1} } .
\] Simplicial \( k\)-スキーム \(\check{C}(Q_{\underline{a} } ) \) を, 射 \(Q_{\underline{a}} \to \mathrm{Spec}(k)\) の Cech 構成とする。このとき、つぎの motivic cohomology \[
H^{w+1,w}(\check{C}(Q_{\underline{a}} ),\mathbf{Z}_{(2)} )
\] は自明であることを示せ。

前回の記事では、問題そのものには踏み込まず、次数写像の性質を調べていました。示したことにしているのは次の主張です。

定理 [$\mathbf{Z}/2$-coeff. Th.2.11] $X$ を純 $d $ 次元な非特異射影的なスキームとする。このときベクトル束 $V$ (階数を $n$ とする) であって次の 2 条件をみたすものがある:

・$K_0(X)$ において、$V+T_X = \mathcal{O}^{n+d}$;

・非安定 $\mathbf{A}^1$ ホモトピー圏 $H_\bullet $ における射 $f_V\colon T^{n+d}\to Th_X(V)$ があって、これによる引き戻し写像 $$
H^{2d,d}(X,\mathbf{Z}) = H^{2(n+d),n+d}(Th_X(V) ,\mathbf{Z} ) \to H^{2(n+d),n+d}(T^{n+d},\mathbf{Z} )=\mathbf{Z}
$$ は次数写像に一致する。

この記事では、これを使って定理を証明しますが、主張に現れる Margolis ホモロジーというものをまずは導入しなければなりません。

Margolis ホモロジー

Steenrod 代数の記事で、$Q_i$ という ($\mathbf{Z}/2$係数の) コホモロジー作用素を苦労して定義していました。これは 2 度繰り返すと零作用素であるのでした:$Q_i ^2 = 0$. そこで、どんな pointed simplicial sheaf $\mathcal{X}$ に対しても、次の複体の中央におけるホモロジーを考えることができます。\[
\tilde{H}^{(p,q) - \deg (Q_i)}\xrightarrow[Q_i]{}  \tilde{H}^{p,q}(\mathcal{X}, \mathbf{Z}/2 )\xrightarrow[Q_i]{}  \tilde{H}^{(p,q)+\deg (Q_i)} .
\] ここで、$\deg (Q_i)= (2^{i+1} - 1, 2^i - 1) $です。これを $Q_i$ に関する次数 $(p,q)$ の Margolis ホモロジーとでも呼びましょう。

 示したい定理の主張は、スムーズ射影多様体 $Y$ が一定の条件を満たすときに、その (augmented) Cech 構成 $\widetilde{C}(Y)$ の Margolis ホモロジーが消えるというものです。

定理 [$\mathbf{Z}/2$-coeff. Th. 3.2]

$Y$ をスムーズ射影多様体とし、別のスムーズ射影的多様体からの射$X\to Y$ で $X$ が$2^m - 1$次元かつその特性類が \[
 \deg (s_{2^m - 1} (X) ) \neq 0 \pmod{4}
\] を満たすものが存在するとする。このとき $\widetilde{C}(Y)$ の $ Q _ m $ に関する Margolis ホモロジーはすべて消滅する。

 たとえば $m=0$ のときは、主張中の $X$ は 0 次元で、$\deg (s_0 (X) )$ は $X$ の $k$ 上の拡大次数にほかなりません。 したがって仮定は $Y$ の deg が $4$ で割れないということと同じになります。一般の場合の仮定は、これのある文脈での適切な一般化なのだと捉えることができます。(いきなりこれを納得するのは困難ですが、がまんしてください。)証明は、与えられた $X\to Y$ のデータからホモトピーを作るという風に行います。

 

定理の証明

$d=2^m - 1$ とおきましょう。$m=0$ でない限り $d>0$ です。この記事ではこの場合を考えることにします。 $X$ に対して、前回の記事で存在を示した、次数写像を体現する射をとります。\[
T^{d+n} \to Th_{X} (V)
\] ここで $V$ は $X$ 上の何らかのベクトル束で、階数を $n$ としています。この射は unstable homotopy category における射ですが、その mapping cone を考えることができます。\[ \begin{array}{ccccccc}
T^{d+n}& \to &Th_{X} (V) &\to &cone &\to &Σ ^1 T^{d+n}. \\
&& t_V\in \tilde{H}^{2n,n} &\xleftarrow{\sim } &\tilde{H}^{2n,n }\ni \exists ! \alpha &&
\end{array}\] ここで $T^{d+n}$ やその suspention $Σ ^1 $ の重さ $n$ のモチビック・コホモロジーは自明 (これは$\tilde{H}^{*, -d } $ と同型だが、重さが負のモチビック・コホモロジーは 0 ということにしてあるので) ですから、式の2行目のように、Thom 類 $t_V$ に対応する元 $\alpha $ が一意にあります。

 また、この系列に $\widetilde{C}(Y)$ をスマッシュしたものを考えると、射 $X\to Y$ があることから $Th_X (V)\ \Lambda \ \widetilde{C}(Y)$ が可縮なので \[
* \simeq  Th_{X} (V)\ \Lambda \ \widetilde{C}(Y) \to cone\ \Lambda \ \widetilde{C}(Y) \xrightarrow{\sim } Σ ^1 T^{d+n}\ \Lambda \ \widetilde{C}(Y)
\] と、右側の弱同値が結論されます。そこで、一般にコホモロジー群 $\widetilde{H}^{p,q}(\widetilde{C}(Y),\mathbf{Z}/2)$ の元に $\alpha $ をスマッシュして、この弱同値で遡るという写像を考えます。\[\begin{array}{ccc}
\widetilde{H}^{p,q}(\widetilde{C}(Y),\mathbf{Z}/2) & \\[10pt]
\alpha  \ \Lambda \ ( - ) \downarrow & \\[10pt]
\widetilde{H}^{(p,q)+(2n,n)}(cone \ \Lambda \ \widetilde{C}(Y),\mathbf{Z}/2) & \xleftarrow{\sim } \widetilde{H}^{(p,q)+(2n,n)}(Σ ^1 T^{d+n}\ \Lambda \ \widetilde{C}(Y),\mathbf{Z}/2) \\[10pt] 
& || \text{懸垂同型}\\[10pt]
& \widetilde{H}^{(p,q) - (2d+1,d)}(\widetilde{C}(Y),\mathbf{Z}/2)
\end{array}\] この写像を Voevodsky は $\phi $ と書いています。次元 $d $ は $2^{m} - 1 $ でしたので、ここで現れた次数 $- (2d + 1 ,d)$ は $- (2^{m+1} - 1,2^m - 1) $ に等しいです。

 これは丁度 $\deg (Q _ m )$ の $-1$ 倍になっており、いま得られた合成写像が Margolis 複体の零ホモトピーになっているかどうかを論ずることに意味があります。

 

次の補題の中で、$\deg (s_{d }(X) )\neq 0 \pmod{4}$ という仮定が効いてくることになります。

補題 任意の $x\in \widetilde{H}^{p,q}(\widetilde{C}(Y),\mathbf{Z}/2 )$ に対して、次が成立する: \[
x = \phi Q_ m (x) - Q_ m \phi (x).
\]

($\mathbf{Z}/2$係数なので、引き算は足し算として書いても同じですが。)

 

 証明 $\phi $ の定義を振り返ることにより、等式は  $cone \ \Lambda \ \widetilde{C}(Y)$ のコホモロジー群の中で証明すればよいです。$\widetilde{H}^{p,q}(cone \ \Lambda \ \widetilde{C}(Y) , \mathbf{Z}/2 )$ の中で、任意の元 $x\in \widetilde{H}^{p,q}(\widetilde{C}(Y),\mathbf{Z}/2)$ に対して等式 \[\tag{示したい}
\gamma \ \Lambda \ x = \alpha \ \Lambda \ Q _ m (x) - Q _ m (   \alpha \ \Lambda \ x )  
\] を示したいです。ここで $\gamma \in \widetilde{H}^{2(d+n)+1,d+n}(cone ) $ は恒等写像の類 $\in\widetilde{H}^{2(d+n)+1,d+n}(Σ ^1 T^{d+n} ) $ の像です。

 

$ Q _ m (\alpha \ \Lambda \ x) $ を、Cartan公式風のものにより書き換えることができます。その公式は以前の記事でちょうどさぼった箇所だったので、このブログには載っていませんが、次のような形になります: \begin{equation} \tag{Cartan風}
 Q _ m (\alpha \ \Lambda \ x)=
Q _ m (\alpha ) \ \Lambda \ x + \cdots +
 \alpha \ \Lambda \ Q _ m (x)
\end{equation} ドットで表した中間の項には、いずれも $Q_ i (\alpha ) $ ($ i < m $) の形の項が含まれています。これが実は 0 であることがわかります。この消滅は自明ではありません。

 まず、これの $Th_{X}(V) \to cone $ による引き戻しは $Q _ i (t_V)$ であるわけですが ($\alpha \mapsto t_V $ なので)、これは [Reduced power] 論文の定理 14.2 により 0 です:\[
Q_ i (t_V) = 0 \tag{消滅}
\] この定理は、ベクトル束の Thom 類を $\rho (E,R)$ の形のコホモロジー作用素に代入した際に、$E=0$ でない限り 0 になると述べているものです。($Q _ i $ は、$i$ 番目の成分が 1 で他は 0 という列 $E$ と $R:=0$ に対応するものなので、定理により $Q _ i (t_V)$ が消えます。) この消滅は任意の $i$ で成立します。

 これは大切な定理ですがブログではサボっているので、いずれ書きたいです。

 つぎに、$Th_X(V)\to cone $ によるコホモロジーの制限写像 \[
\widetilde{H}^{(2n,n)+\deg (Q _ i)}(cone )\to
\widetilde{H}^{(2n,n)+\deg (Q _ i)}(Th_{X} (V) ) 
\] が、$i < m $ では単射になります。なぜならこの核には次の群から全射がありますが:\[
\widetilde{H}^{(2n,n)+\deg (Q _ i)}(Σ ^1T^{n+d} )=
\widetilde{H}^{\deg (Q _ i) - (2d,d) }(S^1 _+ ) \twoheadrightarrow \ker ,
\] $i<m $ という条件はちょうど、このコホモロジーの第2添字 (重み) が負であることを言っているので、それは 0 です。

 こうして、上の式 (Cartan風) で $Q _ m (\alpha \ \Lambda \ x )= Q _ m (\alpha )\ \Lambda \ Q _ m (x) $ と計算できることがわかりました。このことにより、上の「(示したい)」式の右辺は $Q _ m (\alpha )\ \Lambda \ x $ となります。そこで、これが $\gamma \ \Lambda \ x $ に等しいことを言いたいわけです。

 ここで、$x=0$ なら両方が 0 なので等式が自明に成り立ちます。多様体 $Y$ に、奇数の拡大次数を持つ閉点がある場合は、$x$ の属する群 $\widetilde{H}^{p,q}(\widetilde{C}(Y),\mathbf{Z}/2)$ 自体が 0 となるので、等式は自明に成り立つわけです。

 そこで、$Y$の閉点は全て偶数次数であると仮定します。(とくに、同じ仮定が $X$ にも成り立ちます。もしも $X $ が奇数次数の閉点を持つと、射 $X\to Y$ により $Y$ も持ってしまうので。) この仮定のもとで、等式 \[ \tag{最後の中間目標}
Q _ m (\alpha )=\gamma \quad\text{ in }\widetilde{H}^{2(d+n)+1,d+n}(cone ) \] を示せば本記事の目標は達成です。ハイ、右辺は定義により $$ \widetilde{H}^{2(d+n)+1,d+n}(Σ ^1T^{d+n}) \cong \widetilde{H}^{0,0} (pt_+ )= \mathbf{Z}/2 $$ の元 1 から来ます。左辺を $Th_X(V)\to cone $ で引き戻すと、先ほど引用した「(消滅)」により消えるので、やはり同じ群 $\widetilde{H}^{2(d+n)+1,d+n}(Σ ^1T^{d+n}) \cong \mathbf{Z}/2$ から来ています。よって、$Q _ m (\alpha )$ が 0 でないことさえ示せば両辺は一致せざるを得ません。

 この目的のため、$Q_ m (\alpha )$ を部分的に更に計算します。これまた解説をサボっている [Reduced power, 命題???] により、$ Q_i$ はあるコホモロジー作用素 $q_i $ を用いて \[
Q_ i = \beta q_i - q_i \beta 
\] と書けます。$\beta $ はBockstein 作用素で、$q_i$ の具体形は、もちろん後ほど使いますが、Reduced power 論文からの引用を通してなので、この記事の中ではブラックボックスとしていて構いません。

 いま、$\alpha $ は $\mathbf{Z} $係数コホモロジー群の元の像 (integral class) であり、Bockstein $\beta $ は、その (完全列 $\mathbf{Z}/2 \hookrightarrow \mathbf{Z}/4 \twoheadrightarrow \mathbf{Z}/2$ の結合準同型としての) 定義から、 integral class を 0 に写します。したがって $Q  _ m = \beta q_ m - q _ m \beta $ に $\alpha $ を代入すると: \[
Q _ m (\alpha ) = \beta q_ m (\alpha )
\] Bockstein 作用素で消える元とは、$\mathbf{Z}/4$ 係数コホモロジー群から来る元にほかならないので、$q _ m (\alpha )$ が $\mathbf{Z}/4 $ に持ち上がる (持ち上げを $y_0$ とでもします) ことを仮定して矛盾を導けばよいです。

 これが持ち上がるとすると、$q _ m (t_V) $ も $\mathbf{Z}/4$ 係数に持ち上がり、この持ち上げは更に $T^{d+n}$ まで引き戻すと消えます:\[\begin{array}{c|ccccc}
&\widetilde{H}^{2(d+n),d+n}(cone ,- )&\to &\widetilde{H}^{2(d+n),d+n}(Th_{X}(V) ,- ) &\to &\widetilde{H}^{2(d+n),d+n}(T^{d+n} ,- ) \\ \hline 
\mathbf{Z} &&&s_d (t_V) &\mapsto &\deg (s_d (t_V) ) \\
\downarrow &&&&& \\
\mathbf{Z}/4 &\exists y_0 &\mapsto &y\ \left( \begin{subarray}{l}\text{not necessarily} \\ s_d(V) \pmod 4  \end{subarray} \right) &\mapsto
&0\ \left( \begin{subarray}{l}\text{necessarily equals} \\ \deg (s_d(V) ) \pmod 4 \\ \text{(explained below)} \end{subarray} \right)
\\
\downarrow &\downarrow &&\downarrow && \\
\mathbf{Z}/2 &q _ m (\alpha )&\mapsto &q _ m (t_V ) & &  \\
&&&|| & & \\
&&&s_d (V) \pmod 2 &&\text{[Reduced power]} \text{Cor.14.3}
\end{array}\] ここで、再び、サボっている Reduced power Cor.14.3 により、$q_m (t_V) $ は $s_d (t_V ) $ (integral class) の $\mod 2$ に一致します。図式の中の $y $ は必ずしも $s_d (t_V) \pmod 4 $ に一致しませんが、その $\widetilde{H}^{2(d+n),d+n} (T^{d+n},\mathbf{Z}/4 ) = \mathbf{Z}/4 $ への像は $\deg (s_d(t_V) ) $ に一致します。なぜなら、$y$ と $s_d (t_V) \pmod{4}$ の差は、係数の写像 $\mathbf{Z}/2 \to \mathbf{Z}/4 $ を通じて $\widetilde{H}^{2(d+n),d+n}(Th_X(V),\mathbf{Z}/2 ) \cong \widetilde{H}^{2d,d} (X,\mathbf{Z}/2) $ から来ますが、$X$ が奇数次数の閉点を持たないという仮定により、この群からの次数写像 $\widetilde{H}^{2d,d} \to \mathbf{Z}/2$ は零写像です。参考:次の図式で、左の下向きの写像は、コホモロジー次元の関係から全射です: \[ \begin{array}{ccc}
\widetilde{H}^{2d,d}(X,\mathbf{Z}) &\xrightarrow{\deg }& \mathbf{Z} \\
\downarrow \text{全}\text{射}&& \downarrow \\
\widetilde{H}^{2d,d}(X,\mathbf{Z}/2 ) &\xrightarrow{\deg } &\mathbf{Z}/2
\end{array}\] よって $0= \deg (s_d (t_V) )$ という等式を得ました。

 一方で、ベクトル束 $V$ の取り方の中で、$K_0(X)$ において $V + T_X = $自明束という条件がありました。$s_d (-) $ は加法的らしいので、$\deg s_d (t_V) = -\deg s_d (X)\neq 0 \pmod 4 $ となります。最後の「$\neq $」は、定理の主張ではじめにそう仮定してあったからです。こうして今導いたはずの deg の等式について矛盾が導けました。

 以上で、Reduced power 論文の §14 をちゃんと解説していないことのツケが回ってきたことを除いては、Margolis ホモロジーの消滅を証明することができました。◼️

 

 

具体例

Margolis ホモロジーの消滅定理を利用できるためには、$\deg s_{\dim X} (X) \neq 0 \pmod 4 $ となるスムーズ射影多様体の例が欲しいですが、射影空間の超曲面において左辺が計算できることから、例がたくさん供給されることになります。

 

命題 $X$ を $\mathbf{P}^n$ の中のスムーズな超曲面で、次数を $d$ とする。このとき \[
\deg (s_{n - 1} (X) ) = d\cdot (n+1 - d^{n - 1}).
\] とくに、$\mathbf{P}^{l^n}$ の中の次数 $l$ 超曲面ならば、この値は $\equiv l \pmod{l^2}$.

これは所謂 Euler の完全列 \[
0 \to \mathcal{O}_{\mathbf{P}^n}\to \mathcal{O}_{\mathbf{n} } (1)^n \to T_{\mathbf{P}^n} \to 0
\] と、$T_X$ を $T_{\mathbf{P}^n}$ に結びつける完全列 \[
0\to T_X \to T_{\mathbf{P}^n}|_X \to \mathcal{O}_X (d) \to 0 
\] (法束が $\mathcal{O}_X (d)$ になるという事実を使っています) で、求めたい値が順番に計算できていくことから出ます。

 

「とくに」の部分で ($l=2$としましょう)、いったんこのような超曲面を得たら、より小さい $\mathbf{P}^{2^{n - 1}}\hookrightarrow \mathbf{P}^{2^n}$ で $X$ との交わり $X'$ がスムーズになるものをとれます。$X'$ も$\deg (s_{\dim (X')} (X') ) \equiv 2 \pmod{4}$ を満たします。さらに小さな次元で同様な性質を持つものもとれます。このことと本記事の定理 (射 $X'\to X$ に適用) から、このような場合の $\widetilde{C}(X)$ に対して $Q_i $ ($i\le n$) の Margolis ホモロジーがすべて消えることが結論できます。

 Pfister quadric はまさにこの状況に当てはまります。

 

 

これで Milnor 予想の証明がだいたいさらえました。やり残しているのは Reduced power §14 と、Rost のノルム原理です。

 今日はこの辺で。