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初心者のHodge理論

トーラス上の楕円型作用素のregularity

ソボレフノルムが有限な級数からなる空間$H_s$は、$s\in \mathbb Z$が大きくなるほど小さくなる($C^\infty $級関数に近づく)のでした。記号$H_{-\infty}:= \bigcup _{s\in \mathbb Z} H_s$を思い出しておきましょう。 定理 $L$をトーラス$(S^1)^n$上の$l$…

楕円型微分作用素 - 定義とはじめの性質

ソボレフ空間とレリッヒの補題をさらったことにより、目標とする2つの解析的定理のうちの1つが楕円型作用素の勉強に帰着されていたのでした。また、もう1つの定理の方は、証明にバリバリ楕円型作用素が必要らしいのでした。 この記事では、楕円型作用素とい…

レリッヒの補題

2つ前の記事で、向きづけられたRiemann多様体のHodge分解定理が、2つの解析的な定理に帰着されることを述べました、具体的にどう導出されるか細部は説明していませんが。 解析的な定理は、微分形式のなすベクトル空間$\Omega ^p(X)$をHilbert空間に埋め込ん…

仕方ないので関数解析

我々はもともと向きづけられたコンパクトな Riemann 多様体 $X$ を考えていたわけですが、Hodgeの定理の証明の中では、各点の小さな近傍をトーラス $(S^1)^n$ の開集合とみなすステップがあります。そこでしばらくトーラス $(S^1)^n$ 上の$C^\infty $級関数…

解析的手法登場

$\mathcal H^p$を$p$次の調和形式 (harmonic forms) のなすベクトル空間とします。ローマン体 $H^p$ は今後ソボレフ空間を表すのに使いたいので、筆記体を用いて書きました。示したい定理は次でした。 Hodgeの定理 $X$ を向きづけられたRiemann多様体 (これ…

余微分とラプラス作用素

この記事では、向き付きリーマン多様体$M $に対して、余微分と呼ぶ作用素 \[ \delta \colon \Omega ^p (M) \to \Omega ^{p-1}(M) \] を定義し、これを用いてラプラス作用素 \[ \Delta =\delta d + d\delta \colon \Omega ^p(M) \to \Omega ^p (M) \] を導入…

スター作用素

このシリーズではRiemann多様体(コンパクトで向き付き)のde Rhamコホモロジー群が、調和形式のなすベクトル空間と同型であるというHodgeの定理を目標にします。本間泰史氏の講義ノートに概ね基づいています。http://www.f.waseda.jp/homma_yasushi/homma2/…