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TaoのHigher order Fourier analysis第1章

数列の均等分布の理論が説明されていて面白そうです。

第1章は、証明を付けて欲しいところなのに演習問題とされているものが少々多すぎますね。

 

Exercise 1.1.16

Single-scale均等分布を仮定するとasymptotic均等分布が出るのは割と自明です。

逆を示すには背理法で議論してArzela-Ascoliの定理を使います。すなわち、与えられた$\delta >0$に対して、どんなに大きい$N$をとっても、不等式 \[ \left| \mathbb E_{n\in [N] } f(x(n) ) - \int _X f d\mu \right| \le \delta \Vert f \Vert _{Lip} \] を満たさない$f$があったと仮定します。これを一つとって$f_N$と名付けます。$\Vert f_N \Vert _{Lip}=1$となるようにとってきたとしてよいです。線型ノルムの定義式$\Vert f_N \Vert _{Lip} = \Vert f_N \Vert _{\infty } + \max _{x\neq y\in X} \frac{|f_N(x)-f_N(y)|}{ d(x,y) }$から、関数列$\{ f_N\} _N$にArzela-Ascoliの定理を適用できます。よって関数列$\{ f_N\} _N$はあるLipschitz関数に一葉収束します。すると上の不等式の否定において$N\to \infty $とすることで不等式 \[ \left| \lim _{N\to \infty }\mathbb E_{n\in [N] } f(x(n) ) - \int _X f d\mu \right| >\delta \] を得ます。これでasymptotic均等分布が否定されたので、背理法で証明できました(というかsingle-scaleの主張の否定からasymptoticの否定が証明できました)。

 

Totallyが付いた方の主張はどうするのかわかりませんでした。Nごとに関数$f_N$と等差数列$P_N$をとるのだろうとは思うのですが・・・。等差数列の公差は$\le 1/\delta $なので、Nをとびとびにとれば$P_N$たちの公差と、その公差に関する「余り」が共通になるようにすることはできます。けれどもそれを勝手に(ちょっと補いながら)つないでできた等差数列$P$ではasymptoticな主張に対する反例になりきれていない気がします。