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前の記事への補足

曲線の場合

$V_1\to V$を正規化とします。$V_1$にはWeilの定理が適用できて \[ |V_1(\mathbf F_q) -(q+1) | \le 2g q^{1/2} \] (だそう) です。$V_1$の種数$g$は$\le (d-1)(d-2)/2$と評価できます(だそうです;Riemann-Rochとかから出るのでしょう)。そこで、正規化の前後での有理点の個数変化$|V_1(\mathbf F_q)| - |V(\mathbf F_q)|$が評価できれば十分です。このためには、$V(\mathbf F_q)$に含まれる特異点の上に何個の$\mathbf F_q$-有理点がありうるか・$V$の特異点は何個ありうるかを考えればよいです。

$V(\mathbf F_q)$の点を1個決めたとき、その上の$V_1$の点は全然$\mathbf F_q$-有理点でない可能性があります。一方、その上の$\mathbf F_q$-有理点は最大でも$d$個だそうです。・・・

次に、$V$の特異点の個数は$d$だけを使って上から抑えられます。実際、・・・

 

筆の存在

ある番号の組$0\le i,j\le n$に対して、$[a,b]\in \mathbf P^1(\mathbf F_q )$でパラメタ付けられた超平面の族$aX_i + bX_j =0$がすべて$V$と正しく交わる($V$を含まない)ことが証明できます。($\mathbf F_q$-有理点でない$\mathbf P^1$の点については何も言えないと思いますが、今回の目的には問題ありません。)

背理法を用いて、どの組$i,j$に対しても或る$a_{ij},b_{ij}$があって超平面$a_{ij}X_i+b_{ij}X_j=0$が$V$を含んでいると仮定します。この超平面上では、座標の比が決まっていることに注意します:$X_i:X_j=b_{ij}:a_{ij}$. 比$[X_0:\cdots :X_n ]$は、組ごとの比$X_i:X_j$を全て指定すれば決まってしまうことから、$a_{ij},b_{ij}$たちのデータから比$[X_0:\cdots :X_n ]$が高々1通りに決まります。つまり超平面$a_{ij}X_i+b_{ij}X_j=0$たちの、すべての$i,j$に関する交わりは、$\mathbf P^1$の1点となります(仮に空で無かったとしても)。仮定により、$V$はこの1点集合に含まれることになります。けれども$V$は1次元以上と仮定してもいましたから、これは矛盾です。

 

ある具体的な状況への応用

数体$K_i$上で、幾何的に整なスキーム$X_i$が与えられているとして、$O_{K_i}$上の有限型なモデル$\mathcal X_i$も固定しておくことにします。このとき有限個の素イデアル$\mathfrak p\in Spec O_{K_i}$を除いて、$\mathcal X_i$は$\mathbf F(\mathfrak p)$-有理点を持ちます。実際、まず有限個の$\mathfrak p$を除いて、$\mathcal X_i $の$\mathfrak p$でのファイバーは幾何的に整であることに注意します(EGA IV-3 定理9.7.7など)。次に$\mathcal X_i$のアフィン開集合を何でもいいからとって射影空間$\mathbf P^n_{O_{K_i} }$に局所閉集合として埋め込み、閉包をとってLang-Weilの定理を使います。結果として、有限個の$\mathfrak p$の上を除いて、$O_{K_i}$-代数であるようなどんな有限体$\mathbf F_q$に対しても$| \mathcal X_i (\mathbf F_q) | = q^{dim X_i }$ +誤差となります。誤差$/q^{dim X_i -1/2}$が有限体に依らず一様に抑えられていることから$|\mathbf F_q|$が一定値よりも大きければ必ず主要項が誤差項に打ち勝って正の値を与えます。